第4章 放送


未だ夜も明けていない午前三時。
唐突とも言えるクラシックがそこら辺に響き渡る。
これから第1回目の放送が流れるのだった。
期間は三日間。
三日間の戦いで、最後の一人が決まらなければ、即全員死亡。
潤慶は自分のスキルを活かして、ハッキングソフトを改良し、海外の文書ファイル・衛星の電波を経由して
政府のコンピーターにクラッキングをしかけていた。
潤慶がクラッキングを開始したのは、F−9エリアについて直の午前12:30のことである。
結局、仁勲とも道漢とも合流を果せぬまま、この作業を一人開始していた。
首輪さえ解除できれば後はなんとかなる。
その思いが今の潤慶を突き動かしていた。

ヴーンという軽いノートパソコンの起動音だけが、静かな廃墟に不協和音を響かせていた。
クラッキングも佳境に入り、もう少しでデータをごっそりと書き換えようかという時だった。
第1回目の放送が辺りに響いたのは。


李元ヘッドコーチの声だった。
「先ずは、死んだ人の名前から言います・・・」
ぴくり潤慶は肩を震わせた。死んだものがいる。
それは、乗ったものがいるという事実を潤慶に突き付けていた。
「あ、これは死んだ順番です。・・・・10弓陽圭11司空烈3李進救1安仁孝12申徳秀15趙載浩18韓相奎
17朴成圭22尹炯13崔仁勲以上・・・では、禁止エリアですが・・・」
潤慶は呆然とした・・・・仁勲が?載浩。相奎。空烈。陽圭。徳秀。成圭。進救。炯。仁孝。が??
ハッとして禁止エリアをメモル。
「では、2回目の放送まで頑張ってくださいね」
ぶつりと放送が切れた。
潤慶は、一時の間放心していたが、ガタッという物音に現実に引き戻される。
「潤慶!!」
そう叫んだのは潤慶の最も親しいものの一人で。
「道漢!!」
潤慶は満面の笑みをたたえそう叫んだ。
しかし、次の瞬間、潤慶の目は大きく見開かれる。
道漢の後ろにいたのは、葛世遠だった。
世遠はマシンガンを道漢の動脈あたりに突き付けている。
「オン・・・一体何を!!?」
潤慶は今にも飛び出して行きたい衝動に駆られたが、必死に焦り昂ぶる鼓動を抑え、
自分に落ちつかせるような声で言った。
「やめろ!世遠!!」
「もう、俺は決めたんだよ。潤慶。俺は、皆を殺して現実に戻るとな!」
「・・・・うそっ・・・だろ?世遠!?」
「ヤンとヨルを殺したのは俺さ。後戻りする余裕は俺にはない」
「・・・・俺には・・・・もう・・・・」
(・・・あいつの元に帰りたいんだ・・・・そして、トップストライカーになる!!)
「・・・麗玉のためか?」
「!!!!・・・・・・何故、そのことを?!」
葛は目に見えて狼狽する。
道漢はその一瞬の隙を突き、ひじ鉄で葛のみぞおちを強く殴り、葛の腕から逃れた。
世遠は、マシンガンこそ取り落とさなかったが、地に膝をつきうずくまる。
パーン!後ろからの鋭い銃声。
その音が、潤慶たちの耳へ届くのと同時に、世遠の体は前へと倒れた。
「あんたら、大丈夫だったか?」
そういってにやりと笑ったのは、鄭全嗣であった。
「っ!!」
潤慶は悲痛な面持ちをよこしただけだった。
「何故、オンを!!」
道漢が怒鳴った。
「何故?助けてやったのにごあいさつだな。お前ら殺られるところだったんたぜ?」
「だからって・・・仲間だったんだ!!」
「だったら、一緒に死んだほうが良かったのか?とんだ茶番だな!」
「何ぃ!?」
「これは殺し合いなんだぜ?そんな、仲良しこよしじゃお前ら死ぬぜ!!」
「てめー!!」
「道漢よせ!!」
飛びかかろうとした道漢の肩を潤慶が掴んで止める。
「じゃあな!」
鄭はそう言うと、廃墟を後にする。
[残り11人]

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