『人知れず向かいあう』

第11話 さよならだけならいつでも言える
「あ、不破じゃん。何してんの?こんな所で」
陽気とも言える声でそう声をかけたのは藤代だった。
「藤代か…」
「お前さ、藤村たち知らない?」
「…いや」
「そっか…」
「何故、藤村たちを探す?」
「んー?何つか教室でのこと考えると藤村と椎名と間宮は乗らないかな?とか思っただけ」
「…お前は?」
「え?」
「お前は乗らないのか?」
「俺は解らない。自分が身の危険感じたら反撃するかもだけど」
「そうか」
というと不破は腰かけていた丸太から立ち上がり、ベルトの後ろに差していた鎌を取り出した。
「不破?」
呟いた瞬間、鎌が勢い良く藤代に向けて振りまわされる。
が、流石はエースストライカーと言った所か、反射的に一歩以上後ろに飛び退く。
「うわ、あっぶねー。何すんだよ!不破!」
少しだけ怒ったように、藤代が言う。
「お前には悪いが、死んで貰う」
「え?って、乗ってるのかよ!?」
「あぁ。それに俺は乗ってないとは一言も言っていない。俺はまだあいつに逢っていないから。
それまでは死ねないからな」
「……」
言いあってもしょうがないよな。相手は不破だし。
つか、ここは反撃といきたい所だけど、ナベのフタただもんなー。
無理だよな。
逃げるが勝ちって奴だよな。此処は。

そう考えると藤代は脱兎の如く走りだした。
不破は呆然とそれを見送る。
別に追い掛けてまで殺す気はさらさらなかったのだ。
ただ、逢いたい人が居るから。
それまでは死にたくない。
それが彼なりの答えだった。




逃げ果(おお)せた藤代は息を切らす事もなくそこで休んでいた。
「しっかし、あの不破が乗っていたなんてなー。何でだよ…」
そんな時だった、藤代の耳に話声が聞こえてきた。
「叔父さん、此処はなれようか」
「そうだな…」
藤代は興味をそそられ落葉樹の葉をかき分けて覗いてみた。
そこには選抜では見た事が無いが教室でちらりと顔を見たような気がする二人が居た。
「あ、もう時期放送なるよ」
支給された腕時計を見て城野は言った。
「もうそんな時間か?」
「誰も、死んでなきゃいいけど…」
「まぁな。けど、殺し合いだからなコレは」
「そうだね・・・」

叔父さん?おない年くらいにしか見えないのにな…。
でもあれか、叔父さんってことは兄弟と年がめっちゃ離れてれば
おかしくもないのかな?
と藤代が考えている時だった。

場違いな程ゆるやかなクラシックが流れてくる。その曲のタイトルなんて藤代は知らなかったが。
「1回目の放送です。一時、殺し合いの手を緩めてくださいね。寝ている人は起きてください。
聞き逃すと大変なことになりますよ。では最初に死亡者を言います。死んだ順番です。
19番渋沢克朗、21番杉原多紀、36番間宮茂、32番日生光宏、40番横山平馬、39番山口圭介
5番小田千裕、22番須釜寿樹以上八名。次に禁止エリアを言います。4時、A-2、B-9、F-5
5時、G-7、H-1、D-3以上です」


嘘、キャプテンと間宮が?死んだ?嘘だろ?そんな馬鹿なことってない。


藤代は明後日の方向に飛びだして行った。
そこがたった今放送で禁止エリア指定になったことも気付いてはいなかった。
【残り38人】
+++++++++++++++
後書き
何というか本当は藤代vs不破ってやりたかったんですけど。
まぁ、そこまで執着すると不破らしくないんで止めました。
というかなんか話がどんどん別方向に進んでいるような気がします。
そして放送を書いてて思ったんですが、はっきり言ってこの時間に放送はないだろうと。
つか1日6回は無理だ…つか1日2回に変更してもいいのかしら?
放送シーン入れていつも気付くけど、私の書くバト笛には時間表記が無いので
間があくとその分忘れてしまうんですよ。そして今回昼の十二時に始った筈なのに
須釜とかのシーンもろ夜で考えて書いてた・爆。
ま状況説明だけで背景描写の貶しい私のバト笛だからこそこのいい加減さでも
いいんですが。ただ三上と水野のシーンの所為で本来なら今朝の6時の筈なんすよ。
でもムリヤリ3時だと思って書いてたりする・殴!

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